聖光見聞録

思考力を養う詩歌【聖光見聞録21世期型教育編】

作成者: Shizuoka-Seiko|20/07/28 15:16

入試が変われば授業が変わる――そう言って準備が進められている共通テスト。でも確かに、そうなのです。私たちの授業も変わっていかなければ。時代も令和になり、社会から求められる力も変わってきているのですから。

大学入試に出題されないからという理由で、授業でもあまり時間を割かれなかった詩歌。けれど文学の源は歌謡や和歌です。それにリズムや形式という制限がある中で、いかに効果的に伝えるかを追究するのは、SNSになじんだ生徒も得意なはず。おじさんから見たら「こんなぶつ切りの文章で伝わるの?」と心配になるようなものでも、言葉として書かれていないことを驚くほどスムーズに読み取り、会話が進んでいます。

そんなわけで1月~3月のどこかで、短歌を用いた授業をしたいと目論んでいます。
1.虫食い短歌(短歌の一部を空欄にして、どんな言葉が入るかを考える。)
2.連作読解(数十首並んだ短歌を読み、そこに描かれた人物関係等を読み取る。)
3.連作作成(既存の短歌を数首選び、並べることでストーリーを作る。)
4.短歌改悪(既存の短歌を意図的に改悪することで、オリジナルの良さを捉え直す。)

虫食い短歌の実践はよく見ますが、オリジナルの短歌と自分の予想が一致したから素晴らしいとは限りません。中には「原作にない切なさが加わったね」となる、感性の鋭い子もいます。つい「正解」ばかり追いかけてしまうマインドのリセットが一番大変なのかもしません。

どのタイミングで上記の試み、あるいは企みが実現できるかは未定ですが、個人的には連作読解は、古典作品読解に近いと考えています。主語や対象(英語でいう目的語)の省略も多い、場面ごとの描写を連ねて書かれる物語文は、まさに短歌の連作と相似の構造です。これまでの授業で理解できなかった作品構成を少しでも理解する機会になればと、今から準備しています。
投稿:高校国語科教諭